AI要約の抜け漏れを確認する方法|条件・期限を原文と照合する例

AI要約の確認手順:要約から原文を照合し、原文から重要事項の抜けを確認する 生成AIの実務活用

AIで要約した連絡文を共有する前は、要約の各文が原文にあるかと、原文の重要事項が要約から落ちていないかを、両方向で確認します。数字が合っていても、「承認された場合だけ」「まだ決まっていない」という条件が消えると、相手が違う行動を取るおそれがあります。

この記事では、社内の作業予定を知らせる短い連絡文を例に、要約を修正して共有できる状態にする方法を説明します。原文・誤った要約・修正例はすべて説明用に作った架空例です。特定のAI製品で実測した出力ではありません。

最初に決めるのは、読み手に残す情報

要約は文章を短くするので、原文のすべてを残すものではありません。まず「誰が、何を判断するために読むか」を決め、その判断を変える情報を残します。作業予定の連絡なら、対象、開始条件、期限、担当、未決事項が候補です。

背景説明を短くしても、実施条件を省略すれば別の指示になります。文字数に収まらないときは、重要な条件を削る前に、要約の長さや箇条書きの数を見直してください。

原文をAIへ入力するときは、勤務先で認められたサービスと情報の範囲を使います。以下の例は架空情報だけで試せます。

架空例で、条件が落ちた要約を見つける

次の原文を「試行に参加する担当者へ、次の行動が分かるように伝える」場面を考えます。段落番号は照合のために付けています。

[1]11月5日から、申請受付の新しい手順をAチームで試行する予定です。ただし、11月4日15時までに責任者の承認が得られた場合に限ります。
[2]対象は11月5日以降に受け付ける新規申請です。既存の未完了申請は従来の手順を続けます。
[3]担当者は11月3日17時までに、不明点を連絡係へ送ってください。質問がない場合も「なし」と回答してください。
[4]Bチームへの展開日は未定です。試行中に受け付けた申請の件数と差し戻しの件数を確認してから、展開の可否を判断します。

一見自然でも、次の要約には問題があります。

11月5日から全チームで新手順を開始します。申請は新手順に統一し、不明点がある人は11月3日までに連絡してください。

原文と照合すると、次のように直せます。表の「判定」は、この架空例の確認結果です。

要約の記述 原文の根拠 判定と修正
全チームで開始 [1]Aチーム、[4]Bチーム未定 対象が違う。Aチームの試行へ修正
11月5日から開始 [1]11月4日15時までの承認が条件 条件が欠落。承認された場合のみと補う
申請は新手順に統一 [2]既存の未完了申請は従来手順 除外条件が違う。新規と既存を分ける
不明点がある人は11月3日まで [3]17時、質問なしも回答 時刻と回答対象が欠落。両方を補う

ここまでで、要約に書かれた文の誤りは見つかりました。ただし、要約に一切登場しなかった[4]の扱いは、要約側から読むだけでは確認しにくくなります。

原文から要約へ戻り、丸ごとの抜けを確認する

次に原文の段落を順に読み、読み手の判断に必要な内容が要約に残っているかを確認します。今回なら、Bチームの開始日は未定であり、試行結果を確認して展開可否を判断する点も残します。

確認順は「対象」「日付・時刻」「数量・単位」「条件・除外」「未決事項」「担当者の行動」です。文書によって必要な観点は変わります。例えば、受付件数と差し戻し件数の比率まで書くなら、同じ対象範囲か、差し戻しを申請単位と回数のどちらで数えるかも確認が必要です。原文にない計算結果を付け足さないでください。

原文に矛盾がある場合は、一方をAIに選ばせて確定しません。「本文では11月3日、別表では11月4日」と確認箇所を示し、文書の担当者へ確かめます。

修正した要約と、共有前の確認

先ほどの架空例は、次のようにまとめられます。

Aチームでは、11月4日15時までに責任者の承認が得られた場合に限り、11月5日から新手順を試行予定です。対象は11月5日以降の新規申請で、既存の未完了申請は従来手順を続けます。担当者は11月3日17時までに不明点を連絡係へ送り、質問がなくても「なし」と回答してください。Bチームの展開日は未定で、試行中の受付件数と差し戻し件数を確認して展開可否を判断します。

修正後は、元の誤りだけを確認して終わらせず、要約全体をもう一度原文と比べます。修正によって別の箇所の対象や日付が変わることがあるためです。添付資料や別紙を入力していなければ、「本文のみの要約」と範囲を明記します。

生成AIが誤った内容をもっともらしく提示するリスクは、NISTの生成AIプロファイル(2.2 Confabulation)でも整理されています。以下の確認表や架空例は、その資料の公式様式ではなく、業務連絡の確認用に本記事で作成したものです。

コピーして使える照合メモと追加指示

原文の保存先と版を先に残すと、後から「どの連絡文に基づく要約か」をたどれます。根拠欄には、AIが付けた番号をそのまま信じず、自分が原文で確認した段落や表番号を書きます。

原文名・版・保存先:
要約の用途と読み手:
入力した範囲/入力していない別紙:
確認項目:
要約に書かれた内容:
原文の段落・表と該当内容:
判定:一致/誤り/重要事項の抜け/原文へ確認が必要
直す内容:
最終確認者・確認日:

AIへ修正を頼む場合は、見つかった差を具体的に渡します。

次の確認結果に沿って要約を修正してください。
・対象はAチームのみ。Bチームの展開日は未定。
・開始には11月4日15時までの責任者承認が必要。
・既存の未完了申請は従来手順を継続。
・質問なしの場合も11月3日17時までに回答。
原文にない担当者、承認結果、日程は補わないでください。
最後に、修正した文と根拠の段落番号を一覧にしてください。

この指示で正しい出力が保証されるわけではありません。返ってきた文と根拠番号を人が照合し、共有する版を確定します。AIへ「正しいですか」と尋ねるだけでは、原文を確認したことになりません。

会議メモや作業手順に使うとき

会議メモの場合は、決定事項と発言者の提案が混ざっていないかも確認します。メモから議事録を作る工程は、ChatGPTで議事録を作る方法で確認できます。

要約した情報を作業手順へ変えるなら、条件を省略した短文をそのまま指示にせず、業務手順書の作り方を参考に、開始条件と完了条件をそろえます。

まずは一つの短い連絡文で、要約から原文、原文から要約の順に確認してください。自然な文章かどうかだけでなく、読み手が取る行動が原文と一致するかが、共有前の判断基準になります。

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