ChatGPTにExcelの集計式を頼むときは、先にどの列を使い、何を含め、何を除き、いくつになるはずかを決めます。式がエラーなく計算されても、仕事の条件まで合っているとは限りません。
ここでは「備品の承認済み経費だけを合計する」という架空の例を使い、依頼文、確認用の小表、正しい式と条件漏れの式、結果が合わないときの確認順を説明します。会社の会計ルールを示す例ではなく、集計条件を確認するための練習です。
最初に、集計する条件と期待結果を決める
次の6行を、ExcelのA1セルから入力してください。区分はA列、状態はB列、金額はC列です。金額は数値で入力します。
| Excelの行 | A列:区分 | B列:状態 | C列:金額 |
|---|---|---|---|
| 2 | 備品 | 承認済み | 1500 |
| 3 | 備品 | 承認済み | 500 |
| 4 | 備品 | 申請中 | 700 |
| 5 | 備品 | 取消 | 900 |
| 6 | 交通 | 承認済み | 800 |
| 7 | 備品 | 承認済み | 0 |
A1に「区分」、B1に「状態」、C1に「金額」を置きます。コピーして入力する場合の元データは次のとおりです。
区分 状態 金額
備品 承認済み 1500
備品 承認済み 500
備品 申請中 700
備品 取消 900
交通 承認済み 800
備品 承認済み 0
この例の条件は次のように決めます。
- F2に集計する区分を入力し、G2に合計を出す。
- 区分がF2と一致し、状態が「承認済み」の行だけを含める。
- 「申請中」「取消」と、違う区分の行は含めない。
- 金額0は数値の入力として扱う。金額が空欄や文字列なら、先に入力内容を確認する。
- まずA2:C7の範囲で試す。行を増やす場合の範囲対応は別に確認する。
F2が「備品」なら、期待結果は1500+500+0=2000です。「交通」なら800、存在しない区分なら0です。この期待結果を、AIの式を見る前に書いておきます。
ChatGPTへ渡す依頼文
「経費を集計して」だけでは、申請中や取消を含めるか、どこへ結果を出すかが決まりません。列、セル範囲、条件、出力セル、確認方法を一緒に伝えます。
Excelで区分別の承認済み金額を集計したいです。
利用環境:Windows版Excel(ここに自分が使う版を記入)。
A1:C1は見出しで、A2:A7が区分、B2:B7が状態、C2:C7が数値の金額です。
F2に集計する区分を入力し、G2に合計を出します。
区分がF2と一致し、状態が「承認済み」の行だけを含めてください。
「申請中」「取消」は除きます。「取消以外」という条件にはしないでください。
金額0は数値として扱い、空欄・文字列の金額は先に要確認とします。
VBAやマクロは使わず、Excelの式を1本と、各引数の意味を示してください。
下へコピーするとき、元データ範囲は固定し、F2はF3へ動く形にしてください。
次の架空データで、備品2000、交通800、未登録の区分0を期待します。
区分 / 状態 / 金額
備品 / 承認済み / 1500
備品 / 承認済み / 500
備品 / 申請中 / 700
備品 / 取消 / 900
交通 / 承認済み / 800
備品 / 承認済み / 0
どの行を合計するかと、行追加時に見直す点も説明してください。
不足している条件は推測せず質問してください。
OpenAIのプロンプト作成の公式案内は、具体的な指示と文脈を伝え、出力を確認して依頼を調整することを説明しています。上の依頼文は本記事の説明用に作成したものです。ChatGPT画面で実行した応答の転載ではありません。
確認用の式と、条件漏れの式を比べる
この例のG2には、次の式を使えます。
=SUMIFS($C$2:$C$7,$A$2:$A$7,F2,$B$2:$B$7,"承認済み")
C2:C7が合計する金額、A2:A7とF2が区分の条件、B2:B7と「承認済み」が状態の条件です。複数条件での合計と引数の並びは、MicrosoftのSUMIFS公式説明でも確認できます。
| 式の条件 | 備品の結果 | 判定 |
|---|---|---|
| 備品かつ承認済み | 2000 | この例の条件と一致 |
| 備品だけ。状態条件なし | 3600 | 申請中700と取消900まで含む |
| 備品かつ取消以外 | 2700 | 申請中700まで含む |
状態条件がない式の例は、=SUMIF($A$2:$A$7,F2,$C$2:$C$7)です。「取消以外」の例は、SUMIFSの最後の条件を"<>取消"にしたものです。これらは条件漏れを説明するために用意した式で、ChatGPTで実際に得た出力ではありません。
どれも数字は表示されます。エラーがないことだけで採用せず、含める行と除く行を人が確認します。件数を数える場合は、担当者別の未完了件数をCOUNTIFSで数える例のように、合計と件数を区別して条件を決めてください。
入力を少し変えて、式とデータのずれを見つける
元ファイルへ入れる前に、作業用の小表で確認します。各確認は元の6行へ戻してから、指定した箇所だけを変えてください。
| 確認 | 変更・操作 | 期待結果と見る点 |
|---|---|---|
| 区分を変える | F2を交通にする | 800。F2の条件を参照しているか |
| 対象がない | F2を未登録にする | 0。0の表示だけで入力漏れと断定しない |
| 除外条件 | 申請中と取消の金額を7000、9000にする | 備品の合計は2000のまま |
| 文字列の金額 | C3の500を文字列として入力する | 合計が1500になる。期待2000との不一致から入力の型を調べる |
| 行追加 | 8行目に備品・承認済み・300を追加する | 必要な合計は2300。7行目までの式は2000のままで追加行を含まない |
| 下へコピー | F3に交通を入力し、G2の式をG3へコピーする | 800。参照はF3へ、元範囲はA2:A7等のままか |
文字列の500を試すときは、先頭にアポストロフィを付けて'500と入力できます。=ISNUMBER(C3)でFALSEになるかを確認します。この例では金額を数値にそろえる約束なので、値を確認して数値500へ直すと合計は2000へ戻ります。見た目が同じでも入力の型が違う場合があります。
行追加の確認では、合計範囲と2つの条件範囲をすべて8行目までにすると2300になります。継続して行を追加する表では、テーブルと構造化参照で追加行を集計・抽出へ含める手順も確認してください。1つの範囲だけを広げず、対応する範囲をそろえます。
掲載した式と上の変更例はWindows版Excel16.0の隔離した小表で確認しています。実際の会社の表、すべてのExcel環境、あらゆる異常値での正しさを確認したものではありません。金額の空欄や文字列を、このSUMIFSだけで自動警告する機能もありません。
結果が合わないときは、条件・データ・範囲に分けて戻す
AIへ「間違っている」とだけ伝えるより、期待結果、実際の結果、変更した入力をセットで示します。
上の架空表では備品の承認済みだけなら2000のはずですが、3600になりました。
実際に入れた式:=SUMIF($A$2:$A$7,F2,$C$2:$C$7)
F2は備品、金額はすべて数値です。
含めてはいけない行は申請中700と取消900です。
どの条件が欠けているか説明し、式と確認手順を示してください。
戻す順番は、対象・除外条件、文字や数値の型、参照範囲、コピー後の参照です。AIが直した式も、同じ小表の期待結果と再照合します。条件を説明し直したことだけで確認済みとはしません。
日付を条件にした合計が合わない場合は、時刻付きデータをSUMIFSで日付ごとに集計する手順で、時刻を含む値が集計から漏れていないか確認します。
式・条件・参照先が正しいのに古い結果が残る場合は、計算方法と再計算の確認手順で、手動計算になっていないかと再計算後の変化を確認します。
実際の業務へ移す前に
勤務先の利用ルールを確認し、実際の顧客名や非公開の経費明細をそのまま入力しないでください。列の構造と架空データでも、式の相談はできます。使う版で対応する関数か、元の計算やセルを上書きしないかも確認します。
OpenAIもChatGPTの回答を確認する公式案内で、正しそうな出力が誤る可能性と重要情報の照合を説明しています。社内の正式な集計条件や承認ルールを決めるのは人です。
生成AIを文書にも使う場合は、作業メモから手順書を作り、元メモと照合する方法も参照できます。Excelでも文書でも、元の条件と完成物を比べてから使うことが大切です。
