課題一覧から未完了の案件だけを確認したいときは、元表を並べ替えたり行を削除したりせず、FILTER関数で別の場所に一覧を作れます。この記事では「未着手」と「進行中」を未完了と定義し、A2:D9の課題一覧から該当する5行をF2以降へ自動で抽出します。
完成例|未完了5件だけを別一覧にする
F1:I1に「課題」「担当者」「ステータス」「期限」の見出しを入力し、F2に次の式を入力します。
=FILTER(A2:D9,(C2:C9="未着手")+(C2:C9="進行中"),"該当なし")
抽出されるのは、課題A、課題B、課題D、課題E、課題Hの5行です。完了の課題C・課題Fと、中止の課題Gは表示されません。この記事のサンプル業務では「未着手+進行中」を未完了とし、中止は抽出対象外にしています。
| 課題 | 担当者 | ステータス | 期限 |
|---|---|---|---|
| 課題A | 佐藤 | 未着手 | 2026/10/01 |
| 課題B | 鈴木 | 進行中 | 2026/10/02 |
| 課題D | 高橋 | 未着手 | 2026/10/04 |
| 課題E | 佐藤 | 進行中 | 2026/10/05 |
| 課題H | 鈴木 | 未着手 | 2026/10/08 |
今回使う課題一覧
次の8行は説明用の架空データです。A1:D1に見出し、A2:D9にデータを入力します。
| 課題 | 担当者 | ステータス | 期限 |
|---|---|---|---|
| 課題A | 佐藤 | 未着手 | 2026/10/01 |
| 課題B | 鈴木 | 進行中 | 2026/10/02 |
| 課題C | 佐藤 | 完了 | 2026/10/03 |
| 課題D | 高橋 | 未着手 | 2026/10/04 |
| 課題E | 佐藤 | 進行中 | 2026/10/05 |
| 課題F | 鈴木 | 完了 | 2026/10/06 |
| 課題G | 高橋 | 中止 | 2026/10/07 |
| 課題H | 鈴木 | 未着手 | 2026/10/08 |
FILTER関数の基本構文は =FILTER(array,include,[if_empty]) です。今回のarrayは返したい表全体のA2:D9、includeは各行を残すかどうかを示す条件、[if_empty]は該当行がない場合に返す値です。
まず未着手だけを抽出する
最初は条件を1つにして仕組みを確認します。F2に次の式を入力してください。
=FILTER(A2:D9,C2:C9="未着手","該当なし")
C2:C9="未着手"は、ステータスが未着手の行をTRUE、それ以外をFALSEとして判定します。TRUEになった行のA:D列が返るため、結果は課題A、課題D、課題Hの3行です。
未着手と進行中をまとめて抽出する
未着手に加えて進行中も含めるには、F2の式を次の形にします。
=FILTER(A2:D9,(C2:C9="未着手")+(C2:C9="進行中"),"該当なし")
これで「未着手」または「進行中」の行が対象になり、5行が表示されます。ステータスが空欄の行は、どちらの文字列にも一致しないため、この式では抽出されません。空欄を未着手とみなすかどうかは業務ルールで決め、勝手に同じ扱いにしないことが大切です。
中止も確認対象にしたい業務では、業務ルールに合わせて条件を追加します。今回は中心式を分かりやすく保つため、中止を含めません。
「+」でOR条件を作る理由
今回の式では、C2:C9="未着手"とC2:C9="進行中"のどちらかを満たす行を対象にするため、2つの条件を+で加算しています。このFILTER式では、加算が「未着手 または 進行中」というOR条件として働きます。
一方、複数の条件を同時に満たす行を選ぶAND条件では、*を使う場合があります。この記事は未完了ステータスのOR条件に絞り、複数条件の全パターンには広げません。
該当する行がないときは「該当なし」と表示する
式の第3引数"該当なし"は、条件に合う行が0件のときに返す文字です。たとえば全行を完了または中止にすると、F2には「該当なし」と表示されます。第3引数を指定しておくと、空の結果をそのままエラー表示にせず、一覧が0件だと判断しやすくなります。
FILTER結果が展開される場所を空けておく
FILTER関数は1セルに式を入力すると、必要な行数・列数へ結果が動的に展開されます。この動きをスピルといいます。今回の5行なら、F2:I6が結果の表示範囲です。
抽出結果が広がる範囲に別の値があると、正常に展開できない場合があります。F2に式を入れる前に、F2:I9付近に不要な文字や数値が残っていないか確認してください。
抽出結果ではなく元表を更新する
F2以降の一覧は、A2:D9の元表から作られた表示結果です。抽出側だけを直接直す運用にはせず、ステータスや期限を変更するときは元表を更新します。元表の課題Aを「未着手」から「完了」へ変更すれば、条件に合わなくなった課題Aは抽出一覧から外れます。
元表を正本、FILTER結果を確認用の一覧と分けることで、元データを残したまま未完了案件に集中できます。
抽出されないときに確認する4項目
- ステータス文字列が一致しているか
「未 着手」「未着手 」「対応中」など、式と異なる文字列は一致しません。 - 参照範囲の行数が一致しているか
返す範囲A2:D9と条件範囲C2:C9は、同じ8行にそろえます。 - 抽出先に別データがないか
F2から結果が広がる場所を空けます。 - 対応するExcel環境か
Microsoft公式の掲載対象は、Excel for Microsoft 365、Excel 2024、Excel 2021、および公式ページに記載されたMac・モバイル版などです。利用中の環境が対象か公式情報で確認してください。
ステータス表記を揃える
FILTER関数は指定した文字列との一致で判定します。「未着手」「未 着手」「未着手 」や「進行中」「対応中」が混在すると、同じ意味で使っていても抽出漏れが起こり得ます。
先にExcelでステータスをプルダウンにする方法で入力候補を「未着手・進行中・完了・中止」にそろえておくと、今回の抽出条件を安定して使いやすくなります。
COUNTIFS・条件付き書式との使い分け
「何件あるか」と「どの案件か」では、使う方法が異なります。たとえば「鈴木さんの未完了は2件」と人数別の件数を知りたい場合は、COUNTIFSで担当者別の未完了件数を数える方法が向いています。その2件がどの課題なのかを一覧で見たい場合は、今回のFILTER関数を使います。
また、期限切れの未完了行だけ色を付ける方法は、元表の中で期限切れの行を目立たせる方法です。今回の記事は期限切れに限定せず、未着手・進行中の行を別一覧へ抽出します。
共有元表のフィルターを変えると他の人の画面にも反映される場合は、シートビューの確認手順で保存先と現在のビューを確認します。
課題、担当者、ステータス、期限といった元表の作り方から確認したい場合は、課題管理表の作り方もあわせて確認してください。
まとめ
未着手だけなら=FILTER(A2:D9,C2:C9="未着手","該当なし")、未着手と進行中をまとめるなら次の式を使います。
=FILTER(A2:D9,(C2:C9="未着手")+(C2:C9="進行中"),"該当なし")
抽出先を空け、ステータス表記をそろえ、変更は元表で行うのが運用のポイントです。元表を残したまま、未完了の具体的な案件だけを別一覧で確認できます。
