実施とは、計画・制度・施策・調査・試験などを実際に行うことです。内容や対象が決まった取り組みに使われることが多く、仕事では「施策を実施する」「調査を実施した」のように、対象となる取り組みを客観的に表します。「実行」は決めたことを行動へ移すこと、「実践」は考え方や方法を自分の行動として行うことに焦点があり、この記事では使い分けも確認します。
実施とは?意味と読み方
「実施」は「じっし」と読み、名詞としても「実施する」の形でも使います。辞書でも、法律や計画などを実際に行う意味として扱われ、「試験を実施する」のような用例が示されています。コトバンク「実施」
「実施する」は、内容や対象が決まった取り組みに使われることが多く、それを実際に行うことを表します。単に何かをするというより、制度・施策・調査・試験など、文書上で対象を特定できる活動に使われやすい表現です。
「研修を実施した」と書いた場合、研修を行った事実は伝わります。一方で、参加者が内容を理解したか、期待した効果が出たかまでは、この言葉だけでは分かりません。実施の事実と、その後の結果は分けて書くと正確です。
実施する対象と仕事での使い方
「実施する」は、対象となる活動が何かを示す語と組み合わせると、使い方を判断しやすくなります。対象の種類ごとに見ると、仕事文書での使い方を整理できます。
計画・制度・方針に関わる場合
計画や制度など、対象となる内容を示す語とは、「実施する」と組み合わせられます。方針は方向や考え方を示す言葉なので、具体的な行為を示すときは「方針を実施する」よりも、「方針に基づく施策を実施する」と書くほうが、何を行うのかが明確です。
例:来期から、新しい研修制度を実施する。
施策・調査・試験・研修を実施する場合
施策・調査・試験・研修・訓練などは、実施の対象として使いやすい語です。いずれも、対象となる活動や内容が示される場面で、実際に行うことを表す語として使われます。
例:「6月に利用者アンケートを実施し、結果を報告書にまとめる」「新入社員研修を実施する」「採用試験を実施する」「安全対策を実施する」のように使います。説明会や防災訓練など、内容を計画して行う行事にも使えます。
「実施する」「実施した」「実施予定」「実施結果」の使い分け
仕事文書では、実施の時期や状態を次のように書き分けます。
| 表現 | 使う場面 | 例文 |
|---|---|---|
| 実施する | これから行うことや、行う行為を示す | 来月、社員研修を実施する。 |
| 実施した | すでに行った事実を報告する | 先週、利用者調査を実施した。 |
| 実施予定 | 行う予定を示す | 説明会は7月に実施予定です。 |
| 実施結果 | 実施後の事実や結果を記録する | 実施結果を報告書にまとめる。 |
「実施結果」は、良い結果が出たことを意味する言葉ではありません。行った内容、参加状況、確認できた事実などを、実施後の記録として示す表現です。
実行・実践との違い
実施・実行・実践は、いずれも実際に行うことに関係します。完全に別の意味ではなく、何を対象にして、どこに焦点を置くかで使い分けます。
| 語 | 焦点 | 仕事での例 |
|---|---|---|
| 実施 | 内容や対象が決まった取り組みなどを実際に行う | 顧客調査を実施する |
| 実行 | 決めた内容や計画を、行動や処理へ移す | 会議で決めた改善案を実行する |
| 実践 | 理論・知識・方法などを、自分の行動として行う | 学んだ接客方法を実践する |
「実施」と「実行」は置き換えられる場面もあります。「実施」は対象となる取り組みを行うこと、「実行」は決めた内容を行動や処理へ移すことに焦点があります。詳しい「実行する」「実行に移す」の使い方は、実行の意味や「実行に移す」の使い方で確認できます。
「実践」は、理論・知識・方法などを自分の行動として行う場面で使われます。語の用法を確認するときは、コトバンク「実行」やコトバンク「実践」も参照できます。
計画・方針・施策から実施へつながる関係
計画・方針・施策は似た場面で使われますが、表している役割は同じではありません。実施は、それらの決定や取り組みを現実に行う局面を表します。
| 用語 | 主な役割 | 実施との関係 |
|---|---|---|
| 方針 | 進む方向や基本的な考え方を示す | 方針に基づく施策を実施する |
| 計画 | 何をいつどう進めるかを事前に整理する | 計画を実施する |
| 施策 | 目的のために行う具体的な取り組み | 施策を実施する |
| 実施 | 決まった取り組みを実際に行う | 現実の行為として進める |
実務では、方針をもとに計画や施策を決め、その施策を実施する形で整理することがあります。ただし、これは仕事を整理する一例であり、すべての場面に当てはまる唯一の順序ではありません。
計画の意味と役割、施策の意味、方針の意味については、それぞれの関連記事で詳しく確認できます。
仕事文書で迷わない実施の使い方
「実施」を使うか迷ったら、対象となる取り組みが何かを確認し、行った事実を文書で示したいかを考えます。報告書や計画書で、取り組みを行った事実を客観的に伝えたい場合は、「実施する」「実施した」が使いやすい表現です。
たとえば、次のように書けます。
- 本日、顧客向け説明会を実施しました。
- 来月、情報セキュリティ研修を実施する予定です。
- 施策の実施結果を月次報告書に記載します。
一方、個人の決断や指示、処理を行動へ移すことを強調するなら「実行」、理論や方法を自分で行うことを強調するなら「実践」が向いています。会議や催しを開いた事実そのものを伝えるときは、「開催」のほうが具体的な場合もあります。
「実施」は、仕事上の文書や案内でもよく使われます。日常の一回の動作では「する」「行う」と書くほうが自然なこともあります。
まとめ
実施とは、内容や対象が決まった取り組みに使われることが多く、それを実際に行うことです。
- 実施:内容や対象が決まった取り組みなどを実際に行う
- 実行:決めた内容を行動や処理へ移す
- 実践:理論・知識・方法などを自分の行動として行う
仕事文書では、「何を行ったのか」を取り組みの名前とともに示すと、「実施する」「実施した」「実施結果」などを自然に使えます。実施の事実と、得られた効果や結果は分けて書くと、内容が伝わりやすくなります。
