納期の見積もり方|工数と確認待ちを分ける記入例

「作業は合計7時間だから、明日には終わる」と考えても、担当者がその仕事に使える時間や、確認を受けられる時間によって完了日は変わります。

納期を見積もるときは、必要な作業時間と、着手してから完了するまでの期間を分けることが大切です。作業を担当者の使える時間帯へ置き、前の作業や確認が終わるまで進めない部分を確かめます。

この記事では、小チームで資料を更新する完全に架空の例を使い、入力する項目、時間表の作り方、納期をまだ確定できない場合、前倒しを相談する場合を説明します。作業時間の数値は説明用の設定で、標準時間や筆者の実績ではありません。

納期を見積もる前に、完成の範囲を決める

まず「何を、どの状態まで作れば完了か」を確認します。資料なら、原稿を作るところまでなのか、担当者の確認と修正を終えて送付するところまでなのかで、必要な作業が変わります。

希望する納期と、現在の条件で見込める完了時刻も分けて記録してください。希望日から逆算して、未確認の作業時間や空き時間を都合よく埋めないようにします。

以下の例は、原稿更新、整合確認、別担当によるレビュー、修正、送付までを対象にします。大きな追加変更や確認のやり直しは、この例の作業時間に含めていません。

入力する7項目と、必要時間の根拠

次の項目を、記事内の表や手元の文書に書き出します。新しい管理システムを導入する必要はありません。

入力項目 書く内容
作業 何をするか、何ができたら次へ渡せるか。
担当 実際に作業・確認する人。部署名だけで分からなければ確認する。
必要時間 その担当者が作業する時間。似た仕事の記録や担当者への確認など、根拠も添える。分からなければ「未確認」。
着手条件 先に終わる必要がある作業、そろえる資料、必要な判断。
実際に使える時間帯 他の予定を考慮し、この仕事に使える曜日・時間帯。勤務時間のすべてを使えるとは扱わない。
確認待ち 誰の何を待つか、確認を受けられる時間帯や、まだ未確定か。
未確定条件 時間・対象範囲・資料・担当者の予定など、日付を変え得る未確認事項。

必要時間をまだ見積もれない作業は、根拠のない「2時間」などを入れず、どの部分が不明かを切り分けて担当者へ確認します。未確認の範囲が残るときは、全体の納期も確定値にしません。作業の分け方で迷う場合は、WBSの作業分解と粒度の決め方を参考にできます。

記入例:資料更新の作業量と時間帯をそろえる

ここからは、人物A・B、時間、希望納期のすべてが架空の設定です。Aは資料を作る担当者、Bは確認担当者。希望納期は水曜日17時です。Aが使える枠は月~木の各10~12時、Bが確認できる枠は木曜日10~11時とします。休日などの実際のカレンダーは、この例には設定していません。

作業・担当 必要時間 着手条件 使える時間帯・確認待ち
原稿更新・A 4時間 更新対象が決まっている Aの月~木10~12時。確認待ちなし。
整合確認・A 1時間 原稿更新が終わっている 同じAの枠。確認待ちなし。
レビュー・B 1時間 整合確認済みの原稿を受け取る Bの木10~11時。それまでは確認待ち。
修正・A 0.5時間 レビューが終わっている Aの枠のうち、レビュー後に使える部分。
送付・A 0.5時間 修正が終わっている Aの枠のうち、修正後に使える部分。

この例では、必要時間、担当者の枠、修正の範囲は設定済みです。自分の仕事で同じ表を使う場合は、下の欄へ未確認の条件と確認予定も残します。説明用の数値を自分の見積もりへそのまま使わないでください。

未確定条件 確認する相手・資料 確認する時点 完了日の扱い
[例:レビューを受けられる時間が未確認] [確認担当者] [返答をもらう予定] [レビュー後の完了日時は未確定]
[例:追加修正の範囲が未確認] [修正内容を決める人・依頼内容] [範囲を確認する予定] [修正時間を確認するまで条件付き]

作業を時間表へ置く5つの手順

  1. 作業の順番を確認する。この例は、原稿更新→整合確認→レビュー→修正→送付です。前の作業が終わる前に次を始められるか、確認せず並行にしません。
  2. 担当者が使える時間帯を並べる。AとBの枠を別々に書きます。Aの空き時間をBのレビュー時間に使うことはできません。
  3. 最初の作業から置く。Aの原稿更新4時間を、月10~12時と火10~12時に分けます。この原稿更新は日をまたいで続けられる設定です。分割できない仕事なら、連続した時間が必要かを先に確認します。
  4. 後続作業と確認待ちを置く。整合確認は水10~11時。原稿を渡せても、Bが確認するのは木10~11時です。修正と送付はレビュー後の木11~12時へ置きます。
  5. 最後の作業の終了を見て、希望日と比べる。担当者の同じ時間帯に作業が重なっていないか、着手条件を満たしているか、未確認事項が日付に影響しないかを確かめます。

Goodpatchの実務記事でも、日程は作業量だけでなく依存関係や判断の時点から考え、担当別の稼働と整合させる考え方が説明されています。以下の小チームの時間表は、本記事独自の架空整理です(開発工数見積もりの実践プロセス)。

完成した時間表:7人時でも、水曜には終わらない

時間帯 Aがすること Bがすること その後の状態
月10~12時 原稿更新・前半2時間 この例の作業なし 原稿更新の続きが残る
火10~12時 原稿更新・後半2時間 この例の作業なし 原稿更新完了
水10~11時 整合確認 この例の作業なし 原稿を渡し、レビュー待ち
木10~11時 後続作業はレビュー完了待ち レビュー 修正へ進める
木11~11時30分 修正 この例の作業なし 送付へ進める
木11時30分~12時 送付 この例の作業なし 対象範囲の作業完了

作業量はAが6時間、Bが1時間、合わせて7人時です。一方、現条件で見込める完了は木曜日12時。希望の水曜日17時には間に合いません。

水11時から木10時までのレビュー待ちは、23時間の経過時間です。これを23人時の作業として足したり、7人時を1日の枠で割るだけで完了日を決めたりはしません。待っている間に継続した監視や別の作業が必要なら、その作業時間は別に見積もります。

工数の単位や計算の基礎はBacklog公式の工数解説でも確認できます。本例では、1人日を何時間とするかの換算を使わず、担当者の作業時間と実際の時間帯をそのまま扱っています。

未確定条件が残るときは、日付を確約しない

Bのレビュー時間が未確認なら、原稿を渡せる時刻と、全作業が完了する時刻を分けて残します。「水11時にレビューへ渡せる見込み。レビュー以後の完了日時は、Bの確認枠と修正範囲の確認後に見直す」という扱いです。これはこの架空例の整理であり、実際の日時は自分の表から出してください。

未確認事項には、何を、誰へ、いつ確認するかを添えます。分からない時間を0と扱ったり、返答がないことを承認と扱ったりしません。確認予定の時刻と、成果物が完成する予定の時刻も別です。

すべての入力がそろっても、見積もりは前提に基づく見込みです。作業量、修正範囲、担当者の枠が変わったら、時間表を見直します。理由のない一律の割増率で確実さを装わないでください。

前倒し相談は、必要な条件をセットで示す

「確認を早くお願いします」だけでは、前倒しできるか分かりません。確認の後に作業する担当者の時間帯まで見て、必要な条件を整理します。

変える条件 この例での完了 判断すること
変更なし 木12時 水17時の希望には合わない。
Bのレビューだけ水13~14時へ前倒し 木11時 Aの水の枠は12時まで。レビュー後の修正・送付は次の木10~11時になる。
Bの水13~14時レビューに加え、Aの水15~16時も確保 水16時・条件付き 両方の枠と、この例の修正範囲を確保できた場合に限る。

前倒しを相談するときは、希望日、現在の見込み、変更が必要な条件、まだ確認できていないことを並べます。人を増やす、残業する、他の仕事の順番を変えるといったことを、担当者の承諾や判断なしに前提へ入れません。

すでに合意した対象範囲や期限を変える場合は、変更依頼書で現在の合意と変更希望の差を整理する方法も使えます。時間表は条件下の見込みを示すもので、変更の承認そのものではありません。

確かめた納期を、実行と見直しへつなげる

提出前に、完成の範囲、各作業の必要時間と根拠、担当者の時間帯、前後関係、確認待ち、未確定条件、希望日との違いを確認してください。

期限や担当が決まり、施策を実行中に管理する段階なら、施策実行計画表の作り方が次の工程になります。今回の時間表は完了時刻の見込みを出すためのものです。実施後は実際にかかった時間や待ちの条件も残し、次回の見積もりに使えるかを確かめましょう。

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